自分のために風呂を焚く | えのきさんの痴漢日記

自分のために風呂を焚く

本日は「NO!残業デー」だったので、早い時間に帰宅。

ゴールデン街に顔を出そうか、亀有で一杯ひっかけようか、とも考えたのだけども、

ここのところの飲酒続きを反省し、電車で大人しく帰宅。

って言っても家につくのは9時前っていうんだから不思議だ、イリュージョンだ。

 

たまたま電車の中で、伊丹十三のエッセーを読んでいて、

ふと「面倒なことがしたい」と思いついた。

そして、その面倒で普段自分が行わない行為の一つを頭の中で考え、

「風呂掃除をして、風呂入る」という行為を選んだ。

 

実家に住んでいる僕は、滅多に風呂掃除をしない。

そして、飲んで帰ればベッドに直行、翌朝シャワーを浴びるので精一杯だ。

だから、ゆっくり風呂につかりたい。しかも、自分が一番風呂を浴びる風呂に入りたい。

 

帰宅して、ありもので食事を済ませながらも、僕はその風呂のプランをじっくりと考える。

考えているうちに11時になってしまったのはヒミツの方向で。

 

12時手前になって、ようやく風呂掃除を始める。

最近では、我が家でも「こすらず洗える」と謳う洗剤を使用しているが、今日はあえてこすりたい。

だから、今回は研磨剤入りの洗剤を使用し、浴槽から洗い場、鏡などを丁寧に洗い始める。

じんわりと汗をかいてきたところで「己の無駄な労働量」というやつに恍惚となり、お湯を溜めるはじめる。

 

お湯を溜めている間に、近所のコンビニに向かい温泉の素を購入。

ハーブの香り、レモンの香り、など様々な入浴剤があるが、あえて硫黄の臭いがキツイものを選ぶ。

硫黄の臭いが狭い浴場をムンムンと立ちこめる雰囲気を想像しながら、ミネラルウォーターを購入。

 

家に戻って思わずハプニング。自動給湯でお湯張りを行ったのが、

設定違いで全く溜まらないままになっていた。結局蛇口からお湯を入れることになる。

お湯はなるべく熱いほうがいい。設定は45度程度。お湯が溜まりはじめてきて、湯気がむわっと出る。

昼間は暖かかったが、夜の冷え込を湯気で感じることができる。

 

そして、入浴の準備は全てそろった。

普段はかけ湯をしてすぐ風呂に入るのだけども、今回は全身くまなく洗ってから。

それまでの間は、あえて入浴剤を入れない。普通のお湯で体を洗う。

そして、じっくりと垢を落としてから、入浴剤を投入。

予想通りの硫黄の臭いに感動を覚える。正直、硫黄の臭いがキツイのは苦手だが、

今回はこの温泉気分を十分に味わうためにキツイのを選んだ。

熱めのお湯に長くつかりながら、目を閉じて鼻で思い切り臭いを吸い込む。

思わずむせそうになるが、それがまたいい。日常にない違和感をイメージすることが出来る。

人差し指がふやけるまで長く入浴し、風呂から上がる瞬間に軽く起こす貧血の症状も少し心地よい。

 

風呂から上がって、新しくて白いTシャツ着て、ボクサーパンツを穿く。

部屋の窓を思い切り開けて、水を飲む。ビールではない、水を飲む。

 

そんな一連の行動、だれのものでもなく自分のためだけの行動。

そして、布団に入ろうとしている。

現在2時過ぎ。

はっきりいって満足はしたけども、休日にやるべき行為だと激しく反省。