人のセックスを笑うな いいなぁ、若いって。 | えのきさんの痴漢日記

人のセックスを笑うな いいなぁ、若いって。



著者: 山崎 ナオコーラ
タイトル: 人のセックスを笑うな

著者名も作品名も狙いすぎ。
だから、自然に帯も狙ったコピー。
この小説を駄目にしているのは、その宣伝関係の効果ではないか。

この小説、かなり良い作品。
19歳程度の青年は、このくらい尊大に生きていて欲しい。
まるで自分が世界の王様だったように。
原田宗典の書評の尊大さのように。
だから、このくらいの文章と、そのオレの気持ちはとてもいいサイズ。
偉そうだけども、何も出来ないの。
親子丼程度しか作れないのに、偉そうで。
セックス下手なのに、威張っちゃって。
それが世間の19歳であって欲しい。それは数年前に19歳の無力さを感じてきた私たちの願望なのだ。

そして、この小説が面白いのは、この小説は誰に語っているか、という部分。
これは小説の後半に出てくる自分のための「日記」なのではないだろうか。
とっても、偉そうで自分主義な文章。
そして、ユリに対して雑な扱い。
彼から見てユリは世間離れしていて、美人ではなくて、ちょっとバカだ。
でも、可愛い。と彼はユリを誉める。しかし、大部分は間抜けな表現。
しかし、ユリを呼ぶ場面でオレが言う台詞は一カ所だけ
「ユリちゃん」になっている。
きっと、オレは「ユリちゃん」という不思議な存在に惹かれて、とんでもないことになっている。実際小説もそうだし。
でも「ユリちゃん」に甘えて惚れている。しかもベタ惚れ。あーあー、恥ずかしい。
んでも、終わった恋だから、未練がましくもねじまがって背伸びしてその思い出を語っているのではないか。自分に対して。自己満足として。

そんなことを考えて読むと、とっても面白い作品。
青いっていいなぁ、ねじまがってていいなぁ。